【HIP HOP】ラップにわかから見たフリースタイルダンジョン解説 MC松島 vs 輪入道 Part1

フリースタイルダンジョン

こんにちは、守田一郎です。今回は前回好評だったにわかなりのフリースタイルダンジョン解説を書きたいと思います。今回は長いので2本立ての記事です。

MCネームの都合上、敬称略とさせていただきます。

MC松島とは

”MC松島”とは、彼のTwitterのプロフィールによると”札幌を拠点に活動する映画監督、漫画家、文筆家、写真家、音楽ファン”とのことです。また、Tokyo Togari Nezumiというレコードレーベルを運営しています。多彩な方ですね。総合すると芸術家って感じですかね。

Twitterがとても活動的で面白いです。今の時代、SNSを有効活用できているラッパーはそれほど多くないので、とてもリスペクトですね。こちらがそのTwitterです。

あとは、かなりの頻度で作品をリリースしているみたいです。この前iTunesで”ライミングマジシャン”というEPを購入したのですが、速攻で次の作品がリリースされていたのには笑いました。ものすごい制作意欲だな…と思いました。(笑)そんな彼の作品が聞けるのはこのチャンネルです。ぜひ聞いてみてください。

また、バトルのほうは僕はあまり見たことがなく、有名なUMBのふぁんく戦だったり、30人組手の動画くらいです。僕的にはめちゃくちゃ面白いです。僕の好きなタイプのラッパーです。

こちらが30人組手の動画です。なかなか思いつかないことをやったり、トリッキーなことをしたりと、クリエイティブな方だなーと思います。めちゃくちゃ面白いです。

最後に、こちらのインタビュー記事も面白いのでぜひ読んでみてください。あ、僕が書いたんじゃありませんよ!!(笑)

輪入道とは

”輪入道”とは、昔の妖怪画集に載っているあの妖怪のこと…ではありません(笑)2代目フリースタイルダンジョンのモンスターとして抜擢されたラッパーです。

はじめてMCバトルに出場したのは17歳の夏休み。REPRESENT MC BATTLEという大会で初出場と初優勝を成し遂げます。そのラップ歴はなんと4か月!まったくの無名でありながらもその異様な存在感を武器に強者をぶった切っていきました。また、年間131本のライブショーケースをすべてフリースタイルでこなすなどの伝説も持っています。

その他の数々の大会でも数えきれないほどの優勝・準優勝を果たしていて、まさに生粋のフリースタイラーと言えると思います。

そんなフリースタイルのイメージが強い輪入道ですが、実はアルバムを2つほど出しています。特に、2ndアルバムの”左回りの時計”は結構有名なんじゃないかなと思います。

僕が特に好きな曲は”徳之島”という曲で、2ndアルバムにも収録されています。題名の通り輪入道がゲストとして呼ばれた九州地方の徳之島という島のことを歌った歌です。輪入道最大の武器である熱いバイブスが曲を通して全身に伝わります。曲の終わりに”東京に飲まれんなよ!君の地元熱いぞ”という歌詞があるのですが、そのバイブスに思わず涙ぐんでしまうほどです。いつもカラオケで歌うのですが、いつもここで声が詰まってしまいます(笑)

ぜひ一度は聞いてみてほしいですね。ある意味一つのジャパニーズヒップホップの完成形ではないでしょうか。他にもAbema Freshで”わにゅう道場”という冠番組を持っていたりします。今一番目が離せないラッパーです。

MC松島 vs 輪入道

では早速解説していきたいと思います。1回戦でいきなり強敵の輪入道と当たってしまったMC松島。どう立ち向かっていったのか、また、輪入道はトリッキーな相手に対してはどう攻めるのか。注目です。

バトル動画は著作権の問題で掲載を控えますが、リリックはこちらです。

バトルビート:Ryuzo – Game For Survival (feat. Anarchy)

先行【MC松島】

ダンジョン出るのはぶっちゃけ俺もビビってるぜ
だけど輪入くんがいるから出るって決めたんですよ
嘘に決まってんだろ 動揺してんじゃねーよ
そんなにお前のことよく知らねえよ
ていうかお前はすげえ1本筋が通ってるし人間力がありそうだから
俺の悩みの相談でも乗ってみねえか
悩みをこれから言おうと思ったけどそろそろ終わりだから
次のバースで俺の悩みをちゃんと言いてくれよ

べしゃりスタイルで攻めるMC松島。しょっぱなからうそをつきお前動揺しているというディス。また”相談がある”と言って次のバースへの期待感を上げる。そして裏腹に輪入道の特徴、人間力をほめて次の相談へのアンサーのハードルを上げる作戦をとる。

対する輪入道。

後攻【輪入道】

よし松島の2バース目みんな楽しみにしとけ
俺の1バースで全部忘れさせるぜ
俺が輪入道ほめてくれてありがとう
さっき便所で会ったけどお前見てもいなかったな
ビビりまくってんのそっちだろ緊張してるな
俺だってここに立つのに緊張してねえわけじゃねえんだ
別に礼儀も筋も何も必要ねえ
言いたいこと言えよIt’s OK?なんだったっけ?

相変わらずアンサーがとてもうまい。相手の言ったことをすべて拾ってアンサーへつなげている。さらにたまに細かい韻をちりばめていてとてもレベルの高いバースだ。さらにバイブスも乗るので得点にしたら相当高いだろう。

1バース目は小手調べ感のあるMC松島に対し、バイブスを乗せつつアンサーをした輪入道の優勢でしょう。ただ、MC松島は客の期待感をあおるのがうまく、複線の貼り方も上手なので回収の仕方次第では逆転クリティカルもあるのではないか、と思いました。

続く2バース目。

【MC松島】

俺の悩みをじゃあ言ってやるよしょうがねえから
今のバース聞いたらこいつそんなに人間力なさそうだなと思ったけどまあいいよ
友達が一人もいなくなっちまったんだよ
昔朝まで夢を語り尽くしたあいつらみんな
大人になったらもう出世話とゴルフと銭の話ばかりで
俺が丸くなっちまったなっていうけど
でも俺は寂しくねえと思ってるんだけどどうだ?

さて、こうしてみると何を言ってるのだろう?相談と言って期待感をあおっておいてなんとも普通のバースだな、なんて思いませんか?僕は思いました。しかし、これこそがまさに松島イリュージョンだったのですね。観客や僕、当然輪入道もこの時点では松島イリュージョンに見事にかかっています。みんな気づいていませんから。(笑)今見ると確かに歌詞っぽいな(笑)

続く輪入道は…

【輪入道】

人間力がねえやつに友達いるわけねえだろ
俺は友達すくねえからそんなの知らねえよ
だけど出世だとか結婚だろかそんなもんでいなくなるなんて
そんなのは本当の友達じゃねえぞ
北海道帰って言っとけ
東京で千葉のやつにこう言われたって
俺お前らのこと本当の友達だと思ってなかったって
そっからもう一遍やり直せ
これでいいか

至極まっとうなアンサーで返す輪入道。何回見ても人間味のあふれる回答だなと思います。先ほどは韻も混ぜてきた輪入道ですが、MC松島の相談内容の悲壮感もあってだんだんと対話スタイルになっていきます。あるいみMC松島のペースにはまって言ってるのか…

このターンはようやく相談内容を言ったMC松島に輪入道はどう返すのかというところが見どころでしたね。輪入道も変に小手先で勝負せず淡々とアンサーしました。そのためか、やはり輪入道の優勢で進んでいるように思います。

さて、ラスト第3ラウンドです!

【MC松島】

あのな輪入道くん
今の話は長渕剛さんの”友達が一人もいなくなっちゃった”っていう曲の話なんだよ
長渕剛好きだすきだ言って全然曲聞いてねえじゃねえかよ
あとでみんな調べたら出てくるぜ本当にこういう曲がある
この人は口ばっかり輪入道輪入道言ってるけど
長渕剛さんに媚を売ってるだけの嘘っぱちじゃねえかがっかりだぜ

ここで松島イリュージョン発動!!誰も予想できなかった展開へと持っていきます。まず輪入道は長渕のライブにセッションしたことがあるほどの長渕ファンで、ファンであると公言してはばかりませんでした。それなのに歌詞を知らないとは…(笑)”長渕剛好きだすきだ言って全然曲聞いてねえじゃねえかよ”というディスが刺さりまくりです。いやー、伏線の張り方もものすごく高レベルで誰も気づかずここまで持ってきました。さすがはキタのハイパーマルチクリエイターといったところでしょうか。120点満点のバースだと思います。

このピンチに輪入道はどうするのでしょうか。

【輪入道】
俺は確かに剛さんの番組に出してもらったそれでもって10万人の前にも立った
それで俺は見せたぜ日本人のヤバいHIPHOP
それからすりゃ お前なんて腐ったリブロース
必要ねぇ 全部投げてるのがミスボールだから出来ねぇ
結局逃げてんだろディス勝負
俺がやりたいのは本当の意味でのスキル勝負
俺に負けて お前は2秒後 肉骨粉

あらら…さすがに核心中の核心を突かれてしまったのでまともなアンサーはできません。しかも番組に出たのになんで曲知らないねん!と突っ込みたくなってしまいますね(笑)ただ、やはりモンスターは一味違いますね。器用に韻をつなぐことで得点を積み重ねようとしています。おそらく松島イリュージョンにはビビったはずなのですが、あの一瞬で細かく韻をつなげるとは…さすがに強いですね。輪入道はバイブスもありますが、元来とても器用なタイプですからね。ここではそれが光りました。ただ、アンサーが返せてない分ディスが軽く聞こえてしまいます。その点も含めてどうでしょうか。

さて、一本目は輪入道が3対2で取りました。やはり1,2バース目が効いたかな?と思いました。しかし、賛否両論ありましたが私はMC松島のクリティカルかなと思いました。(笑)1,2バース目はうまく伏線を張り、そして最も印象に残る3バース目に一気に爆発させる。この構成力は輪入道を凌駕していたと思います。しかも、あのアンサーがうまい輪入道が全くアンサーできてませんでしたからね。言葉は悪いですがまさに”韻に逃げてしまった”と思いました。

ただ、審査員はそれを逃げたと評価せずに”上手に躱した”と評価をしましたね。確かに、あの短い時間で丸々1バースケツを踏み続けたのはさすがモンスターです。あっぱれとしか言いようがありません。当然その審査も理解できます。ただ、やはりわたしはMC松島のような誰もやらない、できないようなラップが好みなのでMC松島の勝ちかなと思いました。

さて2本目はどうなるのでしょうか。記事が長くなってしまったので、【HIP HOP】ラップにわかから見たフリースタイルダンジョン解説 MC松島 vs 輪入道 Part2に続きます。